ナショナル・ミニマムと言う考え方


昨日までベーシックインカムにフォーカスしてお話をさせていただきましたが、今日はもう少し見かたを広げて、「ナショナル・ミニマムと言う考え方」と題してお送りいたします。 

「ナショナル・ミニマム(National Minimum)」は、イギリスの社会保障政策の実現に尽くし、労働党創設にも加わった社会運動家夫妻として有名なウェッブ夫妻が『産業民主制論(1897年)』で提唱したもので、「最低賃金」、「労働時間の上限」、「衛生・安全基準」、「義務教育」の4項目からなり、国家(政府)が国民に対して保障する生活の最低限度=最低水準のことを言います。勿論、現在ではより広い概念として進化しています。 


 <ウェッブ夫妻の提案> 20世紀に入るとアメリカとドイツの影響でイギリス経済は後退局面に入って行きました。そこで、その昔17世紀初頭にエリザベス1世によって制定された貧民救済の法律である「救貧法」、その後の「新救貧法」では対応しきれなくなった資本主義の矛盾をウェッブ夫妻が社会保障政策で補おうと、具体的な提案を行ったとされています。 

①公的職業紹介所の創設による雇用の推進と監視の強化。 

②ナショナル・ミニマム(国民が最低限度の生活を維持すること)の徹底。

③政府支出による公共事業。 


 <日本に於ける現状> 我が国は生存権を憲法25条にて規定しているのは、昨日までの3日間で、課題も含めてお話しした通りです。それを実際の制度で担保しているのが、生活保護法などによる、所謂「セーフティネット」と呼ばれるものになると思います。これは、安心で安定した労働市場を形成し、失業者の生活を保障するための、雇用に関する社会的制度のことを意味します。 

①公共職業安定所 先の太平洋戦争直後に発生した大量の失業者を救済する必要性から1947年(昭和22年)に労働条件の基準となる最低限のルールとして「労働基準法」「職業安定法」「失業保険法」が制定され、職業安定所が創設されたことで、雇用のセーフティーネットとしての役割を担い、失業保険の事務手続きも担当することになったのです。次の3つ以外にも、求職者支援制度や人材育成支援事業などが整備・運用されています。 


 ②職業訓練 雇用保険法第63条では、能力開発事業として職業訓練が規定されています。政府も、職業能力開発施設の設置・運営業務を雇用のセーフティネットとして位置付けて2007年(平成19年)に閣議決定しています。 


 ③雇用保険 失業の予防、雇用状態の是正及び雇用機会の増大、労働者の能力の開発及び向上その他労働者の福祉の増進を図ることを目的として、1975年(昭和50年)雇用保険法が施行され、失業等給付および「雇用安定事業」と「能力開発事業」が実施されたのです。この保険もセーフティーネット機能を充分に果たすべく位置付けられていると言えるのです。 


 <海外に於ける現状> 

東京都立大学人文学部教授の星野信也氏「イギリス・アメリカの社会扶助」によりますと、次のようになります。 

「海外に於いては、福祉国家の一つのメルクマールとして、ナショナル・ミニマムの保障制度をどの様に確立しているかがあげられます。だが、国際的にみて、イギリス、アメリカ、オーストラリァ、スウェーデンといった先進諸国にも、必ずしも全国的、統一的ナショナル・ミニマムがあるとは言えません。」 

「イギリス、アメリカでは、一貫して働く貧困者 (WorkingPoor)がミニマム保障の対象外とされています。アメリカ、オーストラリアでは、老人、障害者等にのみ全国的ミニマムが保障されており、アメリカの要扶養児童家族扶助基準は、州ごとに異なります。スウェーデンの場合も、全国的ミニマムに代わって地方公共団体別基準が保障されています。」 

「発展途上国の場合,公的扶助基準は国家財政の枠内で政治的に決定されますから、ほとんどの国がナショナル・ミニマムを設定しているとはいえませんし、例えばシンガポールでは、一定の慈善・博愛を想定して公的扶助はミニマム以下に押しとどめられています。また、タイの場合、扶助は原則として期限3か月間に限定され、その間に親族扶養や自立の道を見出すべきものとされているのです。」 星野氏は「わが国は、対象者類型別、地域別に格差はあるが、統一的ナショナル・ミニマムが設定されている点で、いわば稀有の例である。」と結んでいます。 


 <ナショナル・ミニマムの進化> 

20世紀初頭に提唱されたこの考え方は今や広く世界に広がりを見せ進化をし続けていると言っても過言ではありません。ナショナル・ミニマムは、生活保護のみならず、年金、最低賃金、雇用保険、労災保険、医療保険、介護保険、保育等の児童福祉、住宅手当、子ども手当等の関連する社会保障施策・雇用施策によって重層的に確保されています。生活保護をはじめとする各制度は、保障するニーズやリスクに応じて制度設計され、給付水準も設定されているのです。 


 <最後に>  

これも星野氏の提言を引用させていただきますが、「貧困や格差の問題を是正するためには、社会保障関係支出の増加が不可欠ですが、今後は社会保障を『コスト』ではなく『未来への投資』と位置付ける必要があります。特に医療、介護、保育等の分野は今後確実な需要の増大が見込まれ、大きな成長が期待されるとともに、地域における雇用創出効果も極めて高いことを再認識すべきなのです。そうすれば、これまで給付削減目標が設定されることの多かった社会保障分野について、今後は給付や利用者数の増加、『投資のリターン』等を目標にする方が馴染むと考えられる様になるのです。」と仰っています。  

ベーシックインカムと言う視点だけでなく、ナショナル・ミニマムと言う、より広い観点から社会保障を拡充させコストから有効な投資へ考え方を進化させ、科学技術の発展に伴う社会の急激な変化に人々の生活が脅かされることの無い様に、セーフティネットからこぼれ落ちてしまうケースが無い様に、生存権を全ての国民が自分たちの権利として行使できる様にしなければならないと思います。全ての国民が社会的貧困から免れ、現在の様な超格差社会が是正され、安心して結婚し、家庭を営み、子供を育てられる、人間らしい生活を送れる環境が改善されることが、日本を人口減少社会から救う唯一の処方箋なのではないでしょうか。お見合いプロフィールに少な目の年収を記入せざるを得ない状況が少しでも少なくなることを願う毎日です。今日は、この辺で失礼します。

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