ベーシックインカムが導入されたら?!(後編)


「日本の失われた20年」の間に貧困率15.6%、所得格差はOECD加盟国中でワースト8位になってしまった現実をお話ししているうちに腹立たしくも悲しい気持ちになってしまいましたが、もはや60年以上もの長きに渡り「すべて国民は、健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する(生存権)」の文言を直視することを避け、国の努力目標だと言い続けてきた歴史も含めて、何とか国民的な合意を取れるならば、今こそ生存権を国の義務だと認め、国民にその権利を保障し、ベーシックインカムの制度を我が国が率先して導入すべき時代だと思います。などと言うとご批判を頂戴してしまいますでしょうか?!。今日は「ベーシックインカムが導入されたら?!(後編)」と題してお送りいたします。 


 <朝日訴訟の影響>  

昨日ご紹介した朝日訴訟は社会的意義が大きかったことは事実です。例えば「プログラム規定説」と言われる国の努力目標に過ぎないとしながらも、あらためて生活保護制度が国民の権利であることが確認されました。特に勝利した第一審の判決では「健康で文化的な最低限度の生活とは『生物として、かろうじて生存できる程度の生活ではなく、人間らしく生活できるもの』でなければならない、保護費は低すぎる」として、さらに「国家には、人間らしい生活を保障する義務があり、財源のあるなしではなく、優先的に配分すべき」として、国による積極的な保障義務を認めた画期的裁判だったのです。当時「人間裁判」とも言われた、この我が国最初の行政訴訟は、正に人としての尊厳とは何かを正面から問いかけ、国民的議論を巻き起こし、生活保護費の大幅引き上げや生活保護行政そのもののあり方について改善が見られるなどの大きな成果をもたらしたのです。 


 <生存権の解釈>  

「プログラム規定説」に関しては既にご紹介した通りですが、生存権を定めた憲法25条の持つ法的性格については、逆の解釈も存在し「法的権利説」と呼ばれています。即ち、国民が国家に対し、必要な義務を講ずるよう要求する権利が保障され、国家もこれに応ずる義務があるという考え方です。この考え方には更に2つの考え方があります。 

 ①抽象的権利説 国の法的義務を規定したものであるとする説ですが、具体的に生存権を実現するためには法律による具体化を待たねばならず、国民一人ひとりが25条に基づいた直接の請求を行うことはできないとする、個人的には腑に落ちない考え方ですが、学説ではこの解釈が有力なのだそうです。 


 ②具体的権利説 同じく、国の法的義務を規定したものであるとする説で、具体的に生存権を実現するためには法律による具体化を待たねばならない、との解釈は一緒ですが、各々の国民は国の立法不作為に対して25条を根拠に違憲確認の訴えを起こすことができると言う点で、一歩踏み込んで権利を認めようとする考え方です。

 実際に裁判で採用された「プログラム規定説」を含めて幾つかの考え方があり、生存権をより積極的な国の義務として認めさせようと、21世紀に入ってから沢山の行政訴訟が提起され、現在9ヶ所で100人以上が原告となって裁判が継続中です。これらは「第二の人間裁判」とも呼ばれ、国家賠償責任を問う行政訴訟の大きなテーマになっているのです。 


 <ベーシックインカムの必要性> 

繰り返しになりますが、ベーシックインカムとは、別名「最低所得保障」とも呼ばれ、年齢・性別・所得の有無を問わず、すべての人に所得保障として一定額の現金を支給する制度のことです。平たく言えば「全ての人が最低限の生活を送れるように、そのための収入を無条件で政府が支給する」制度だと言えます。つまりこれも昨日の繰り返しになりますが「何かあったとき限定」での公的扶助とは全く違うということです。日本では希望の党が先の衆議院選挙で公約にしたことで議論の広がりを見せていますが、世界では意外に古く18世紀には存在していたと言われています。近年注目される様になったのには理由があります。 

①貧富の差の拡大  

高度な情報化によって経済のグローバル化が進み、貧富の差が著しく拡大したこと。特に生活保護の条件を満たさない、ワーキングプアといわれる貧困層の拡大は深刻な社会問題となっており、「何かあった時限定」の社会保障では担保しきれない現状があります。 

 

②社会保障制度の抱える問題  

社会保障に関しては、日本だけでなく世界的に制度の複雑化、厳格化が進んでおり、生活保護受給者が、いざ仕事を始めると、却って収入減になると言った矛盾点もあり、公平な制度運営そのものに問題を抱えています。更に「生存権」の考え方も様々な議論を重ねつつ進化していると言えます。 

③AIの進化による失業増加 そして何よりもAIをはじめとする関連技術が飛躍的な進化を続ける現在、もう近い将来、人間が行っている仕事が代替されて急激に失業が増加してしまうのではないかという世界的な不安が現実味を帯びてきました。テスラCEOのイーロン・マスク氏やフェイスブックCEOのマーク・ザッカーバーグ氏など、シリコンバレーの著名人も続々と支持を表明しています。 

しかし、いざ現在の経済状況でこの制度を導入しようとすると様々な困難が立ちはだかってくることも知られる様になってきました。やはり前・後編の2回では書ききれませんでしたので「完結編へつづく」とさせていただきます(笑)。今日はこの辺で失礼します。

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